出町桝形商店街は鴨川にほど近い、全長200m弱の小さな商店街です。
今年冬期の「たまこまーけっと」の放送によって、そのモデルとなった商店街として注目度が一気に広がりましたが、実はこの商店街は「たまこ」よりも前から、いわゆる「萌えおこし」をやっていました。

そのイメージキャラクターがこの「加茂川マコト」ちゃんです。
可愛い。たまことは対極的なキャラクターですが、いかにも「看板娘」という感じの活発そうな子です。
加茂川マコトは商店街活性化実験の一環で、出町商店街の萌えキャラとして2011年に誕生し、「酢でしめたろかっ!」を決め台詞としてプロジェクトを展開してきました。
私、流行らせたくてうずうずしてるんですがね。「酢でしめたろかっ!」。
ところが2013年に入り、写真の通り突然の「専属契約終了」の発表があり、私たちが出町桝形商店街を訪問した直後の3月31日をもって、加茂川マコトは出町商店街から姿を消してしまいました。
まさか、商店街としては全国的知名度・集客力の高い「たまこまーけっと」に乗り換える、ということなのか?
と思ったら、この件と「たまこまーけっと」は無関係で、問題は別のところにあることを知りました。
どうも「加茂川マコト」ブランド(?)は出町商店街が自由に使えたわけではなく、著作権を含めおおもとの諸権利は、京都を拠点に「萌えおこし」の活動を展開する団体「ことまきプロジェクト」が持っているらしいのです。
要は出町商店街としては、ことまきプロジェクトからマコトをレンタルする形をとっていたと。
「専属キャラ」で売り出していたのに、変な話ですね?
で、ことまきプロジェクトが権利を握っていることで何が起きたか。
良く言えば「外への進出」、悪く言えば「一人歩き」です。
いつの間にか加茂川マコトはことまきプロジェクトの専属アイドルという肩書きが「オフィシャル」(元々オフィシャルではあるから「メイン」とでも言いますか)になり、出町商店街と関わりのないところで一人歩きを始めました。

結局、ボードのコメントにもわざわざ「出町の加茂川マコト」と書かれ、「本家」と主張することも叶わずに去ってしまう運びになってしまいました。
こんな元気な中学生キャラをさ、大人のよう分からんすったもんだで失うって、それってあまりにも「ない」んじゃないのと。
でも。
少なくとも私が見た限りでのこの商店街の印象。
大丈夫です。問題ない。
今回の訪問は2回目(前回は夜でしたが)なんですけども、絶妙な親密感がわくんですよ。こんなに笑って買い物したことがあったかなって。
なんか本当に活き活きしているんです。
この親密感ってどこから来るのかなぁと考えると、やっぱり物理的にも、大抵のお店が扉がないお店なんですね。
私の地元にもいくつも商店街がありますが、やっぱり扉がないお店は断然「とっつきやすい」。
ちょっと気になった次の瞬間には「こんちわ~」って足を踏み入れられる。
お客さんとの距離感が上手くとられているかどうかが、「店の多い通り」と「商店街」を分ける差なんだと思います。
そういう意味では、ここの商店街は間違いなく後者です。
で、訪れる側も気楽なら、迎える側も気安く接してくれるんです。
スーパーのレジ先で世間話をすれば「なんだコイツ」ですが、この商店街ではご主人のほうから「どっから来たの~?」と聞いてきてくれる、そのやりとりを受け入れられるだけの懐の広さが商店街の空気にありました。

「加茂川マコト」にしろ「たまこ」にしろ、「萌え」を押し出さなくても、この商店街には十分な活力があります。
むしろ、もし「聖地だよ!ほら撮影ポイント!グッズバーン!」とか下手に浮かれていたら、かえって寒いことになっていたと思います。
最近は地元のほうからアニメの聖地としてガンガン売り込んでいく「オタなめ商法」(言わねーよ)が散見されますが、アニメの背景として登場する場所としては、特別に飾られることのない「いつも通り」の風景にこそ魅力があるわけです。

出町商店街はそれを理解していたからこそ(もちろん、その理解の裏には「加茂川マコト」のノウハウがあったでしょう)、「たまこ」の主張はポスター1枚にとどめて、あとはあくまで「いつも通り」に、よそからの新しいお客さんを迎えていたんだと思います。
その「いつも通り」が本当に心地よく、だからこそまた訪れたいなと思える訪問になりました。
で、一度出町を離れた後、早速午後にもう1回訪れました(爆
次回は藤森に移動します。
(⑤へつづく)
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