★紛らわしい区間に注意②(乗れちゃう編)★
今度は逆に、「紛らわしいけど、結論としては乗れる区間」をいくつか紹介します。
1.七尾~和倉温泉
JR七尾線の列車に乗っていくと、普通列車はすべて七尾を終着駅として折り返していきます。
七尾では「のと鉄道」という別会社の列車が待っていて、さらに能登半島の先へ進みたい旅行者はここで乗り換えます。
あれ?
路線図では、七尾線は1駅先の和倉温泉までだぞ?なんで手前で全部折り返しちゃうの?
そう、普通列車で和倉温泉に行きたい人は、なぜか七尾で強制的にのと鉄道の列車に乗せられる羽目になるのです。
じゃあ、七尾~和倉温泉は別運賃を取られてしまうのでしょうか?

ご安心ください。七尾~和倉温泉は18きっぷで乗れます。
ややこしくなるだけなので深入りはしませんが、七尾~和倉温泉はJRでもあり、のと鉄道でもあるという不思議な区間なのです。
七尾~和倉温泉の移動は必ずのと鉄道の車両になりますが、この区間はJRの路線として、18きっぷを使うことができます。
ちなみに普通列車は七尾で折り返すのに対し、JRの特急列車は和倉温泉まで行っています。おかげで18きっぷユーザーは乗り換えなしの特急客を指をくわえて眺めることに…。
なお、和倉温泉よりさらに先(穴水方面)は、純粋なのと鉄道の路線ですので、もちろん別運賃が必要です。
2.鹿島神宮~鹿島サッカースタジアム
JR鹿島線の列車に乗っていくと、すべての列車が鹿島神宮を終着駅として折り返します。
鹿島神宮では「鹿島臨海鉄道」という別会社の、大洗鹿島線の列車に乗り換えることができます。
いやちょっと待てよと。路線図を見ると、鹿島神宮は鹿島線の終点ではないことにお気づきでしょうか。
どうも鹿島線の「本当の終点」は鹿島神宮ではなく、もう1駅先の鹿島サッカースタジアムであるようです。
でも、鹿島線の列車が鹿島神宮で折り返すなら、鹿島臨海鉄道に乗り換えないといけないわけで、
すると18きっぷで鹿島サッカースタジアムにたどり着くことは不可能なのか?

いいえ。これも結論から言うと、鹿島神宮~鹿島サッカースタジアムは、18きっぷで乗れるんです。
七尾~和倉温泉はJRでもあり、のと鉄道でもある区間だったのに対し、こちらは単純に、鹿島臨海鉄道の列車の「乗り入れ」です。まぁ、これは制度上の話であって、乗っている分には何の違いもありません。
ただし、鹿島サッカースタジアム駅はちょっと特殊な駅なので要注意。
鹿島サッカースタジアム駅はその名の通り、サッカーチームの鹿島アントラーズの本拠地、カシマサッカースタジアムの最寄り駅です。
鹿島サッカースタジアム駅には、ここで試合などが行われる日だけ、一部の列車だけが停車し、それ以外の日は全ての列車が通過します。
したがって、鹿島サッカースタジアム駅で降りてみたいという方は、事前に停車する日を調べてから行くようにする必要があります。
この情報はやはりJR東日本ではなく、実際に列車を運転する鹿島臨海鉄道のウェブサイトに載っています。
ただし、鹿島サッカースタジアムを通過する日で、鹿島臨海鉄道で先に進みたいという場合でも、18きっぷは鹿島サッカースタジアムまでの分として使えます。
鹿島臨海鉄道の運賃の精算は、鹿島サッカースタジアムからの分で構いません。
逆方向(水戸方面→鹿島線)の場合も同じように、鹿島サッカースタジアムまでの運賃を用意して、その先は18きっぷを使えばOKです。
3.北千住~綾瀬
JR常磐線の上り各駅停車に乗って、北千住で上野方面への快速に乗り換えることにします。
乗り換える北千住の1駅手前、綾瀬を出ると、車内放送が流れます。
「お待たせいたしました。東京メトロ千代田線をご利用いただきましてありがとうございます。」
東 京 メ ト ロ 千 代 田 線 。
やべっ、乗り換え損ねてメトロ入っちゃった!?寝ちゃってたのかな、どうしよう、別運賃取られる、オワタ……。
ところが。別運賃は取られません。
路線図をチェック。そう、北千住~綾瀬はちゃんとJRとして書かれています。
では放送が嘘をついているのか?
これも答えは「ノー」。綾瀬から東京メトロ千代田線になるというのも「正解」です。

ここはもう、めちゃくちゃです。追究すればするほどわけがわかりません。
まぁ、「乗れるなら何でもいいじゃん」という話もありますので、どうでもいい方はこっから下は飛ばしてください。
現在、常磐線の各駅停車は東京メトロ千代田線と直通運転をしていて、1本も上野に行きません。上野に行くのは快速だけです。
この直通運転&常磐線の各停・快速の分離が始まる頃のお話。
少しでも建設費を節約したいという国鉄(現・JR)と、北千住に車庫を作りたかったが土地が足りず、もう少し先まで路線を伸ばして土地を確保したいという営団地下鉄(現・東京メトロ)の思惑が一致しました。(というのが表向きの事情。裏は知りません。)
結果、国鉄は北千住~綾瀬の各停の線路の資産を営団に引き渡しましたが、同時に利用者の運賃問題をできるだけ解決しようとした結果、制度はかえってややこしくなり、今に至っています。
要するに、北千住~綾瀬は、線路などの資産は東京メトロの持ち物ですが、運賃を計算するときにはケースバイケースで、JRにも東京メトロにも化ける、摩訶不思議な区間なのです。
このややこしさは、綾瀬に快速を止めればだいたい解決しますが、実現していません。(土地がない説、需要がない説etc.)
結論として、北千住~綾瀬は実態がどう見ても千代田線だけど、18きっぷで乗れるということです。
もちろん、綾瀬~北綾瀬や、北千住~町屋方面は純粋な千代田線ですので、18きっぷは使えません。
松戸方面から常磐線の各駅停車に乗ってきた場合、必ず北千住で快速に乗り換える必要があります。
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