
立野駅に着いて南阿蘇鉄道のりばへ移動すると、イメージとだいぶ違う、前面窓の大きな車両が出迎えてくれました。

MT-3000形です。しかしこれもれっきとしたNDCシリーズの仲間なんだそうです。
非貫通のタイプを見慣れていなかったもので、ちょっと驚きました。
南阿蘇鉄道高森線は、1986年に国鉄高森線から転換した、全長17.7kmの路線です。
全体的に駅名が長いことで知られていますが(後述)、特徴的な阿蘇カルデラの中を走るのんびりしたローカル線で、観光資源としても活躍しています。

いわゆる最初からクライマックスってやつです。立野を出ると、すぐに深い渓谷を渡ります。
特に第一白川橋梁(何番目の橋か自信ない)は、大井川鐵道の関の沢橋梁に次いで、水面からの高さが日本で2番目に高い鉄道橋梁だそうです。
ここがちょうど阿蘇カルデラの入口にあたり、この付近の鉄道や道路はみんなこの隙間を通るわけですね。
車窓を見下ろせば、阿蘇のスケールのでかさが実感できると思います。
車内チャイムは熊本県の民謡「おてもやん」の一節ですね(『嫁入りしたではないかいな』の部分)。
九州新幹線の車内チャイムに採用されて若干知名度が上がった気がする曲。

1つ目の長陽を出ると、あとは終点の高森まで、カルデラ内の平原を快調に進んでいきます。
「牧歌的」というのはこういう風景のことを言うんでしょうか。平原に敷かれた1本の線路をゴトゴト進む、「あ、鉄道旅行してるな」という気分を満喫できると思います。

そして列車は「南阿蘇水の生まれる里白水高原」駅へ。
鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前」駅と並び、日本一長い駅名(読み22文字)として有名です。
※漢字かな交じりの正式表記では、「リゾートゲートウェイ・ステーション」駅と「東京ディズニーランド・ステーション」駅(いずれもディズニーリゾートライン)が最長(中黒を含め17文字)。
もし降りて観光するとすれば、周辺にいくつか湧水池があるみたいなので、ぶらぶらしてみてはいかがでせうか。

中松で行き違いをします。
相手は南阿蘇鉄道の目玉、「トロッコゆうすげ号」でした。乗ってみたかったのですが、どうしても時間が合わずパス。

そして立野から30分ちょいで、終点の高森に到着しました。南阿蘇鉄道完乗!

終点の高森付近で、線路は阿蘇の中心にそびえる阿蘇五岳を向いて終わります。
国鉄時代、高森線には、高千穂線とつないで延岡に抜ける九州横断鉄道を構成する計画があったそうです。
しかし高森-高千穂の建設中に深刻な出水事故が発生。そのまま計画は立ち消えになりました。
やがて2路線とも国鉄・JRから切り離された後、高千穂鉄道高千穂線は2005年の台風の被害から復旧できないまま、2008年に廃止されてしまいました。そうして、高森線は盲腸線としてぽつりと取り残されたのです。
九州横断鉄道への発展は叶わなかった高森線ですが、阿蘇観光の玄関口として、これからも元気に頑張ってほしいものですね。
(つづく)
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