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北海道新幹線 新駅の駅名について -JR北海道(PDF)

予想された中で最悪の結論ですね。自治体の関係者には失望しました。

今書かないと、もうこの先二度と書くタイミングがありませんので、今一度私が思っていたことをまとめておきます。

もちろん、ここから下に書くことがすべて、「もう遅い」で一蹴されることは重々承知です。
一鉄道ファンの感想文として、ちょっとだけ好きに書かせてください(


さて、これから私はろくに見出しを付けることもなく、今回の駅名決定がいかにマズかったかということを延々と書き殴るわけですが、今すぐにでもブラウザバックできるように最終結論を書いておきます。

「どうせ、どんな妥協案もスッキリしないんだから、駅名は『渡島大野』とするのが妥当だった。」



北斗市の言い分として、「ここどうみても函館じゃねえだろ」という点は、私も合理的な正論だと思います。

ただし前提として、行政地名と駅名が食い違っているケースというのは、何ら珍しいことではありません。本題にはあまり関係ありませんが、一応チェックしておきます。
行政地名と慣習的に呼ばれてきた地名にズレがあった結果だとか、メジャーな地名にしたいとか、理由は多種多様でしょう。
新函館北斗の仮称として、しばらく「新函館」が使われていたのは、後者によるものと言えます。

もう一つの基本情報。北斗市は上磯町と大野町の合併によって2006年に発足した、比較的新しい市です。
「北斗」という市名は、この2町の字を使わない、新しい市名を作るという条件のもとで公募されたもので、謂れとしては特にそれ以上でも以下でもありません。北斗七星辺りからの連想でしょうか。

ここでは、新しいから云々ということを言いたいのではなく、道南の中心都市である函館市の近くに駅を設置するとなると、全国を結ぶ新幹線の整備にあたり、大きな都市である函館の名前の入った「新函館」という仮称が付けられる流れが何となくできてしまうのは、ある程度致し方なかったことだと感じたわけです。
1972年7月3日に運輸省が告示した基本計画にも、北海道新幹線が「函館市附近」を経由する計画であることが示されており、実際の所在地がどうあれ、函館市を意識した駅であることは確かです。


で、次の段階。こういう状況に置かれると、正式に駅名を決めようという段階で、どこでも毎度毎度同じように揉めるんですよね。
同じ新幹線の駅でも、駅名に関しては、例えば以下のような調整が過去にありました。

小郡小郡町に新幹線開業前からあった駅だが、山口市との合併が確定したことを機に、2003年に「新山口」に改称(山口市との合併は2005年に実施)。発端は国鉄の要求だったとか、山口市の要望だったとか、いろいろ言われている。

燕三条…燕市と三条市の市境上に開業。両市が展開した争いの妥協の賜物。駅名で「燕」を前にする代わりに、すぐ近くの北陸自動車道のIC名は「三条燕」として双方のメンツを立てたらしい。

水沢江刺水沢市に開業したが、近隣の江刺市の要望も酌んでこの駅名になった。両市は2006年に合併で「奥州市」となり、市名自体が消滅した。


問題の新函館北斗駅ですが、周知であろう通り、全くの新駅というわけではありません。元々在来線の函館本線にある、渡島大野駅に併設する形で開業します。
そして、この渡島大野駅の所在地が北斗市(大野町のエリア)というわけです。この辺をまずおさらい。

つまり、ゼロから作る新駅と違って、新しい駅名をひねり出す必要性が、本来どこにもなかったのです
事実、小郡は「新山口」に改称する合理的理由(=山口市になること)が成立するまで、改称には至りませんでした。

で、「函館市附近」の駅が北斗市にできると分かり、「『北斗』にしろ!」という話が出たところから、案の定不毛な争いが始まるわけです。


※もっとも、あの辺りの地形を見ると分かりますが、北海道新幹線が青函トンネルを使用し、かつ札幌方面への延伸を前提としている時点で、そもそも函館市内を経由すること自体、物理的に不可能です。したがって、函館市方面へのアクセス駅が函館市にできないことは、道南の地形を知っている人々からすれば、かなり早い段階で明らかでした。

とにかく、複数の自治体の思惑が絡む下手な合戦は、余計な混乱を生むだけです。偉い人たちにはそろそろ気付いてほしかった。
燕三条を巡るいざこざなんて、1980年代の話です。もう2014年です。進歩しようよって話。

揉めるくらいなら、変えないほうがマシ。なんたって、既存の駅に併設するだけなんですから。

で、何年もかけて出た結論が「新函館北斗」ですよ?いかにも「決着つきませんでした!」って感じの駅名で、見るからに後味悪いですね。


長らく大野町の名の入った駅として見られてきた渡島大野駅。すでに自治体としての大野町は消滅し、駅名は後に残される形となりました。

「渡島大野」という駅名は、北斗市に位置することや、函館市に近いことを全く主張しません(まぁ「渡島」なんで、ある程度分かりますけど)が、それぞれの事実を否定するわけでもありません。まぁものは言いようですね。


この話を考える際に、私は決まって、とりあえず博多駅の例を挙げることにしています。

福岡市の代表駅であり、新幹線の主要駅として、全国的に十分認知されている博多駅ですが、「博多」という駅名も、福岡市にあることを全く主張しません。
しかし、ごく良識的な旅客ならば、「博多」が福岡県福岡市の玄関口であることを把握し、適切な列車を選択して博多へと向かっていきます。
「『福岡』じゃねぇとどこだか分かんねーよ!」という客がもしいるならば、少なくとも私の感覚では暴論をこねる人になります。

要するに、乗り換えや目的地として利用する駅を把握しようともせずに、「どこにあるか分からない」なんていう文句に関しては、もうある程度以上は客側の怠慢であって、「そういうもんだ」という感覚を持って利用するのが、普通の客の行動だと思うのです。


もし「函館や北斗をアピールしたい」という思惑があったのなら、玄関口に過ぎない駅名の取り合いなんかをする前に、街自体の魅力を高めることに全力を注ぐのが先だったはずでしょう。どう考えても順序が逆です。

その場所が十分に魅力的であるならば、自ずと旅行者は寄ってきます。そこで初めて「あ、この街の最寄り駅は○○って言うのね」となるのが正しい順番です。
逆に、北斗なる街を駅名から知ったところで、わざわざ新幹線で来てまで見るものは特に無いらしいとなれば「ふーん…」という感じですよね。
「なんか地名が良さげだから行ってみよう」なんて物好きが落としていくお金に、どうしてそこまで期待できるのか不思議なのです。


とにかく、関係自治体のグダグダな妥協については心底見損ないましたが、決まってしまったものは仕方ありません。

新幹線が来るまでもう日もないのですから、残された時間で何をすべきか、必死で考えてほしい。やれるだけのことをやってほしい。

「駅名取り合うのに躍起になる暇はあったのに、開業まで何してたの?」なんて言わせないような魅力ある街で、万全の体制で新幹線の旅人を迎えてくれるよう、あと2年弱での各関係者の仕事に期待しています。
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