昨年夏の石巻は8時スタートでよかったんですが、今回は5時過ぎにはもう行動開始という、18きっぷのくせにぶらり感ゼロの強行スケジュールでございます。
でもね、おかげで旅から帰ってきてからびっくりするぐらい朝型に戻ったんですよ。春休みの堕落ぶりに「こりゃいかん」と思ってる皆さん、18きっぷで始発から旅するのおすすめですよ。

高岡駅の改札です。ここも、以前は「高岡駅」の左にJR西日本のロゴが入っていたのに、三セク化絡みでもう消されています。
せっかく模様とかもそれ込みで計算して描いてたっぽいのに、なんだかもったいない。

5:53発、富山から来た始発の金沢行きで、早速西へ突き進んでいこうと思います。
ところでこんな旅行記を書いていたら、「ゆるゆり」3期が決まりましたね。高岡に泊まったおかげですね。

6:18、七尾線に乗り換えるべく、途中の津幡で降りました。
津幡での待ち時間は若干長く、あわよくばコンビニか何かで非常食が調達できればと思っていたんですが、跨線橋から見渡す限り、駅周辺には住宅地が広がり、10時ぐらいにしか開かなさそうなショッピングモールが1件見えるだけでした。典型的なベッドタウンのど真ん中に駅があるような。
交通の要衝という感じではなく、ただたまたま、ここで線路が分岐しているだけ、という印象です。
待合室のあるホームに行くのも、戻ってくるのがめんどくさいし、跨線橋の中で冷たい風をやり過ごすことにしました。
列車の時刻が近づいてくると、羽咋や七尾のほうに学校があると思しき学生が、続々と改札からホームへ降りていきます。私もそろそろ行きますかね。

金沢からやってきた、6:44発の七尾行きに乗車。いざ能登半島へ向かいましょう。
七尾線は津幡-和倉温泉を結ぶ、営業キロ59.5kmの路線です。意外と長いですね。全列車が金沢方面へ乗り入れます。
車内は学生だらけです。月曜の朝ということで、座れないのは覚悟していました。
私が寄りかかっていたボックスに座っていた高校生のグループは教習所に通っている最中らしく、「卒業式の日に車庫入れとか泣けるwww」みたいな話をしていました。卒業おめでとう。一生の思い出になる良い車庫入れができますように。

立ちながら半分眠っている状態でシャッターを切っていた写真を載せておきます。

羽咋と言えば、UFOの街として知られていますよね。
この付近の車窓は、ローカル線にはよくある田園風景にも見えるんですが、何かうまく説明できないんですけど、こう、何となく「宇宙人が降りてくるとしたらこの辺を選ぶだろうな」という雰囲気を感じるんですよね。スピr
このときの朝靄のせいなのか、この辺の山並みが特徴的なのか、何とも分かりません。とりあえず朝7時の七尾線に乗って、「何か」を感じてください(

冗談はさておき、結局半分寝ながら立ちっぱなしのまま、7:58に終点の七尾に到着しました。
JR七尾線はもう1駅先の和倉温泉まで、ということになっていますが、普通列車は全列車が七尾までで折り返してしまうため、先に進もうと思ったら必ずここで乗り換えなければなりません。
ここから先は第三セクターののと鉄道が担っています。

朝の空気が気持ちいいですね。
能登エリア最大の都市・七尾市の玄関口ということで、駅を出た目の前にコンビニと、おなじみ大和の入ったショッピングモールがありました。ちょっとした装備品の調達に助かります。
さて、ここからさらに能登半島の先へと進むべく、のと鉄道に乗り換えます。
七尾-和倉温泉の1駅間は、JR七尾線でもあり、のと鉄道でもあるという不思議な区間です。
実は、元々はここから先もJR七尾線で、路線は能登半島北部の輪島まで続いていました。
観光客誘致の一環として、和倉温泉まで電化して、各方面から直通の特急を走らせようということになったときに、JR西日本は和倉温泉から先の経営分離を求めたんだそうです。
結果、穴水から分岐していた国鉄能登線を引き継いで運行していたのと鉄道が、七尾線の和倉温泉以北も合わせて引き継ぐ、ということになりました。
このとき、のと鉄道の第二種鉄道事業者(線路を間借りして、列車の運行を行う事業者)としての起点は七尾とされ、七尾-和倉温泉はJRでもあり、のと鉄道でもあるという区間になりました。
そして、特急はJR西日本、普通列車はのと鉄道という風に分担されたわけですね。
しかし、後に穴水-輪島は赤字の深刻化で2001年に廃止、能登線も2005年に全線が廃止され、のと鉄道は七尾-穴水の33.1kmだけを残して今に至ります。
ちなみに、線路などの設備は譲渡ではなく「貸付」の形がとられ、今でも和倉温泉から穴水まで、JR西日本が第三種鉄道事業者(線路などの設備の保有者)となっているそうです。もちろん路線名もJR・のと鉄道を通して「七尾線」。
そんなわけで、この区間はなんだかややこしいことに。

券売機の上には、「和倉温泉まではのと鉄道の券売機で買ってください」という旨が書かれています。運賃は安いほうのJRに揃えられて190円です。
ちなみに七尾-穴水は830円で、他の区間も運賃表の通り独立した運賃体系となっています(「七尾-和倉温泉190+和倉温泉-穴水680=870」とはならない)。
ただ、七尾-和倉温泉に関しては青春18きっぷで乗せてくれますし、北千住-綾瀬と違ってJRの乗車券も普通に買えます。
掲示があるのにJRの普通乗車券で乗ろうとすれば完全に「嫌な客」なのでわざわざやりませんが、現場でどういう線引きをしているのかはよく分かりません。

七尾駅では、JRとのと鉄道は別の改札から出入りするようになっています。ちょうど柱で隠れちゃいましたが、左がJR、右がのと鉄道。
ここにはJR西日本の駅員さんしかいないようで、金沢方面の列車のアナウンスと、改札を行っています。
一方、のと鉄道の列車に関しては、待合室に放送ぐらいは流れるかと思いきや、結局最後まで何の案内もありませんでした。
共同使用駅というと、割と柔軟に他社の案内もやるようなイメージがありますが、七尾駅の場合は「我関せず」という感じ。ルーツが同じ1本の路線にしては、えらくドライです。

改札内ではJRとのと鉄道の構内は仕切り扉1つで隔てられていて、JRからのと鉄道に乗り換える利用者の改札を、のと鉄道の運転士さんが行っているようです。

いわゆる「お見合い席」に腰かけました。いざ穴水へ向け、8:33発車。
和倉温泉、田鶴浜あたりまでは住宅が多かったです。

七尾から15分くらい走ると、車窓には海が見え始めました!
能登半島を手で握るとしたらちょうどいい感じに指を引っかけられそうな、あの部分にあたります。海を隔てて向こう側に見えるのが能登島ですね。

写真左奥のほうでカキ(たぶん)を養殖しているのが見えました。
海は非常に穏やかです。能登島などに隔てられているおかげですかね。
さて、アニメ界隈では、のと鉄道は「花咲くいろは」に登場した鉄道として知られています。私は未視聴です(小声)
アニメの製作にあたり、のと鉄道は全面協力でタイアップしています。どれくらい「全面」かというと、


架空の駅名標まで立ててしまうほどです。
左が西岸駅としての本物の駅名標、右が作中に登場した「湯乃鷺駅」としての姿を再現するためにわざわざ作られた駅名標です。
「花咲くいろは」も前々から「面白かった」という評判は聞いているので、観た上で改めてこの地域を訪れたいところですな。

能登鹿島に植えられている桜が、春を待っていました。これは咲いたらめちゃくちゃ綺麗でしょうね。

9:12、終点の穴水に到着しました。

輪島など、能登半島の先端へ行くには、ここからさらにバスに乗り継ぐことになります。今回はこのまま折り返し。

今となってはJRの駅とは言いがたいのに、みどりの窓口が残っています。
ドアには「のと鉄道旅行センター」と書かれています。また、JRおでかけネットを見ると、のと鉄道自体がJRの切符を取り扱う旅行代理店のような感じに書かれていて、扱いとしては旅行代理店の店舗に近いのかなと推測。
手元の時刻表では、穴水駅がみどりの窓口設置駅としてちゃんと書かれています。

「花咲くいろは」のポスターがちゃんと貼られていましたね。

構内にはラッピング車両もいました。
ちなみにここからだと確認できませんでしたが、あの車両は同じP.A.WORKS製作で北陸を舞台とした「グラスリップ」と「true tears」も一緒くたにラッピングされているという、豪華仕様なのであります。素晴らしい。

9:29発の七尾行きで戻りましょう。

ただし七尾までは行かず、和倉温泉で降ります。
これから私は盛大にアホなことをやらなければいけません。
私の乗りつぶしルールでは、全国に何ヶ所かある、「複数の路線が全く同じレールを走るにも関わらず、それぞれ独立した路線として扱われる」という重複区間について、第一種・第二種鉄道事業者を基準に計上します。
このとき、原則としてその列車が所属する事業者をもとに、乗った記録をつけていくことと決めています。
ところが七尾-和倉温泉に関しては非常に厄介で、JRの普通列車は七尾ですべて折り返してしまうわけです。
つまり今の時点で、のと鉄道としての七尾-和倉温泉は乗りつぶしができていても、JR七尾線としての七尾-和倉温泉は乗ったことにできていないのです。
妥協策として、単純にこの区間を2回通ればJRとしても乗ったことにする、という手もあるにはありますが、自分のことだから後で何となく気持ち悪いモヤモヤを残すことになりそうです。
となれば、残された選択肢は1つです。
普 通 が な い な ら 特 急 に 乗 れ ば い い じ ゃ な い 。

わずか5分の乗車時間に、乗車券190円+自由席特急券650円=840円をつぎ込むッ!ワイルドというか、ただのアホである。
まぁ、自分で稼いだお金だし、誰も文句はあるまい。わはは。


ということで、10:15発、特急「サンダーバード」20号 大阪行きに1駅だけ乗ります。
ちなみに、仮に金沢までこれに乗って先を急ごうとしても、接続する普通列車が小松止まりなので実は意味がありません。

自由席の乗車率はぼちぼちですな。適当に座りましょう。
しかしまぁ、きちんと正しい対価を支払っているとは言え、さすがに1駅で降りるのは結構勇気がいるものですw
なので、誰に見せるともなく切符を片手に持ち、「ちゃんとお金払ってます、悪いことはしてません」というアピールをしておきました(
10:20、七尾に到着です。これで誰の目にも明らかに、JR七尾線も完乗とすることができました。
自分の乗りつぶしルールを厳格に適用した場合で、わざわざ有料特急に乗らないとクリアできないケースは今のところここだけだと思われるので、とりあえずここが片付いて一安心。
ちなみに和倉温泉には現在、大阪からの「サンダーバード」が4往復、名古屋からの「しらさぎ」が1往復、そして越後湯沢からの「はくたか」が1往復乗り入れています。
これが3月14日以降は大幅に再編され、列車自体が廃止になる「はくたか」が当然消えるほか、「しらさぎ」も乗り入れを取りやめます。
「サンダーバード」は1往復だけ残り、残り計5往復の特急は新設の「能登かがり火」に改められ、金沢までのシャトル特急になります。
能登半島の鉄道網の涙ぐましい再編を経て各方面から特急を走らせてきたのに、新幹線が金沢までしか来ない段階でのこの縮小は皮肉なものです。

ちょうどいいタイミングで、七尾始発の普通列車に乗り継ぐことができます。10:26発の金沢行き。
うとうとしてふと気が付くと、もうすぐ津幡まで戻ってくるというところでした。が、どうも車掌さんの動きが慌ただしいです。
細かい部分は寝ていて聞き逃してしまったのですが、どうも北陸エリアのやや広範囲でダイヤ乱れが発生していたようです。この列車は、おそらく指令などと連絡を取りつつ走らせている関係で、3~4分ほど遅れています。
実は金沢で降りた後、北陸鉄道の乗りつぶしを予定していました。
所定ではこの列車は11:51に金沢に着き、北鉄金沢12:00発の列車に乗り継ぐ行程。北鉄自体は特別乗りにくいわけでもないのですが、その後が意外にキツキツで、乗り遅れるとアウト。
したがって、遅延は5分弱がリミットかなということで、ちょっと上手くいくか怪しくなってきました。
北陸本線に合流した後、森本で停車。
ダイヤ上、この列車はここでの待避はないのですが、本来先に通過しているはずの特急を先に通さなければならないようです。
通過していった列車は「北越」2号でした。11:31には金沢に着いているはずの列車なので、20分強の遅延でしょうか。

特急を待った影響で、森本発車の時点でこの列車の遅延が10分を超えました。
金沢到着は12:00を過ぎることが確定したため、予定していた北鉄の列車への乗り継ぎは不可能となります。
よって、今回は北鉄の乗りつぶしを断念し、急遽行けるところまで先に進んでおくように行程を変更します。
次に金沢来るときは、たぶん新幹線かな。どのみち再訪するので、北鉄はまたそのときに乗れればいいかなと思います。
そんなわけで、10分ほど遅れながらも、無事に金沢に到着しました。
接続する福井行きは所定では12:02発。乗り継ぎ組は大急ぎで民族大移動。
3月14日以降の移管区間を乗り通した記念に駅名標を撮りたかったのですが、今回ばかりはしょうがないですね。さて、この先はどうしようかな。
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