さてさて、3日目、8月19日です。
この朝のために前日に御坊入りしておいたんでした。
「御坊入り」って出家するみたいな字面だよね。
宿からぶらぶらと歩き、紀州鉄道の終着駅、西御坊駅へ。

謎のシックさを醸し出す駅舎です。

紀州鉄道は御坊市内の御坊-西御坊を結ぶ、とても小さな私鉄です。
会社はどちらかというと不動産業がメインで、本社は東京にあります。
営業キロはわずか2.7km!国内の普通鉄道としては、保有する路線が千葉の芝山鉄道(2.2km)に次いで2番目に短い鉄道会社となっています。
ただし、芝山鉄道は事実上、京成線の延長のような運行形態になっているので、単体で完結している鉄道としては、今でも紀州鉄道が日本一短い鉄道だと言われることもあります。
元々、御坊駅が線形の都合上、御坊の中心部からやや離れたところにできることになったため、不便さを補完する鉄道を自分たちで作ろうと、地元の有志が立ち上がったのが、この路線の始まりです。
しかしながら経営は困窮を極め、モータリゼーションの進行などで致命傷を負った1970年代に、ギリギリのところで東京の不動産会社に救出されて今に至ります。
この鉄道の注目ポイントは、もちろん短さだけではありません。

黙ってても硬券が普通に出てくる鉄道もなかなか珍しいですw 素晴らしい。

キテツ1形と呼ばれるこの車両は、日本で唯一、台車がそれぞれ1軸ずつしかない2軸車なのです。

このため、一般的なボギー車では1両の場合、ジョイント音が「ガタン、ガタン」と聴こえるのに対し、このキテツ1形では「タン、タン」となります。
今となっては極めて珍しくなったこの構造は、「最もバスに近いレールバス」と呼べるのではないでしょうか。

途中の学門駅(「口」はつかないよ)は、学業成就のゲン担ぎ駅として有名ですね。入場券がよく売れるようです。
わずか8分の旅を終え、6:38、終点の御坊に到着しました。
ちなみに西御坊から終点の御坊に着くまで、乗客は私を含めて2人のみで、それ以外は一切乗り降りがなく、ドアが一度も開きませんでしたw
路面電車でもない限り、他では形式的にでもドアが開く場合が多いと思うんですが、本当に一瞬「停止」しただけだったのには面食らいました。

見れば見るほどバスですね。
7:08まで30分ほど待った後、前回言っていた始発の紀伊田辺行き321Mに乗り、御坊に別れを告げます。

この独特ののっぺり顔は、113系の中間車両を先頭車化改造したものです。
前回書き忘れましたが、きのくに線は7月の台風11号でかなりダメージを受け、不通区間が発生していました。
紀伊半島方面は定期的に雨などで不通になる印象があったので、夏の乗りつぶしは避けようかなと用心していたのですが、7月26日に全線復旧したことを受けて、今回の行き先として決めたのでした。結局、一番ひどかったのは初日でしたね(
なお、この旅行のわずか3日後の8月22日、きのくに線は台風16号で再度不通になったため、今思うとかなりギリギリの合間を縫っての旅行成立だったことになります。

ただ3日目にきて天候はまたも崩れ、川も濁り気味。

お分かりいただけるだろうか。
線路に、カニ。
高校生の凄まじい通学ラッシュに圧倒されながらも、どうにか40分間を耐え抜きました。

7:51、紀伊田辺に到着。
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