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祝2018 / コムス社会実験

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2018年 あけましておめでとうございます

6日迷って、この写真。

実は東京で年を越すのはまだ3回目とか、そんなもんかな?今年もよろしくお願いします。


新年一発目のネタは、「ちょっと新しいカーシェアを体験してみた」です。と言っても2年以上やってるらしいけど。

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トヨタ車体(トヨタの子会社)が開発した電気自動車「コムス」の運転を都心で体験してみました。
1人乗りの超小型EVで、法的には「ミニカー」という分類になります。最近ニュースを賑わせている某カートも、同じく「ミニカー」に分類される仲間です。

日本の法律上、ものすごく微妙な位置付けをされているカテゴリーになるので、ざっくりと通り一遍の解説をしておこうと思います。


ミニカーの定義としては、ガソリン車なら排気量50cc以下、電気自動車なら定格出力0.6kW以下の動力で走る自動車(二輪や特殊自動車でないもの)を指します。

ミニカーというカテゴリーは、道路交通法(車を運転する際の法律)では「自動車」の扱いになります。したがって、公道を運転するには四輪の普通免許が必要です。原付免許ではダメです。

運転にあたっては自動車と同じ扱いをしてもらえるので、こんな若干頼りない車体でも、堂々と法定速度60km/hまで出してOK。


ところが、道路運送車両法(車の構造・整備に関する法律)では「原付」の扱いになるんですね。

つまり整備面に関しては原付と同じ扱いを受けるので、車検も車庫証明も不要ですし、保険料も原付の激安価格。
また同じ理由で、現時点(2018年1月現在)ではシートベルトがついてなくても合法になります。この辺法律ってすっごいいびつですよね。

自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。〔後略〕
道路交通法 第71条の3

当の道路運送車両法上で原付扱いされているわけですから、装備義務がない以上、着用義務も発生しません。
ただコムスには装備されていますし、もちろん今回きちんと着用して運転しましたが。

さすがにちょっと変だし危ないよねということで、近いうちに基準を改正し、ミニカーについてはシートベルト装備を義務化する予定らしいです。


なんでこんなややこしいことになるかというと、道路交通法道路運送車両法で、車の分類の仕方が微妙にズレているからですね。
いわゆる「原付二種」という概念が存在するのと同じ理由で、複数の法律のすき間に挟まれた微妙な存在、それがミニカーなのでございます。


こんな感じで、自動車と原付のいいとこ取りと言えば聞こえはいいですが、参照しないといけない法律があっちに行ったりこっちに行ったりするので、かなりめんどくさい存在でもあります。


実はもう一個めんどくさい話があって。「この道は通れるのか通れないのか」という判断がかなりややこしいんですね。

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こちら、「二輪の自動車、原動機付自転車通行止め」の標識です。
ミニカーは道路運送車両法上は「原付」と見なされますが、この標識で通れないと示されている原付は、あくまでも道交法上の原付なので、道交法では「自動車」になるミニカーは通れます

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つまりミニカーが見なきゃいけない標識はこっちです。

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が。この青い標識で示される「自動車専用道路」の根拠法は道路法ですが、その道路法の条文を見てみると…、

この法律において「自動車」とは、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車をいう。
道路法 第2条第3項

ということは、上の青い標識は道路運送車両法を使って解釈しないといけません。こっちではミニカーは「原付」扱いになるので、通れません。めんどくせぇ!!


具体例がこちら、レインボーブリッジの下段です。
ここはストリートビューの通り、原付の通行が禁止されていますが、禁止されているのはあくまでも道交法上の原付です。
この道自体は自動車専用道路ではない普通の一般道です。よって、ミニカーは通ってもOKという解釈になります。


前置きが長くなりましたが、実際に乗ってみた感想を書いていきます。写真は順不同で、いろんな所で撮ったのを並べ替えています。

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大手町の国道1号沿いのステーションは、割と仰々しく「こんなんやってます!」というスペースが確保してあります。
やっぱり物珍しさはあるので、私が乗る前に時々写真を撮っていく人も見かけました。

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外観は前面の曲線がかなりなだらかになっていて、かっこいいとは言えないまでも、なるべくダサくならないように気を遣っている感じはあります。
ドア(?)はテントそのものです。ファスナーをジーッと下ろして開け、ジーッと上げて閉めます。これ自体オプションらしいので、「この規格の車でも雨風はしのげるんだぜ」と加点法で考えるほうが精神衛生的には良いです。

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ミニカーである証明の青ナンバーです。

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トランクは案外奥行きがあるので、手荷物の収納には十分です。

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で、コックピットがこんな感じ。コックピットというか、これが車内のすべて。まさしくゴーカートですな。

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居住感としては、意外にも普通の車の運転席部分とあまり変わりません。特に狭くも広くも感じないというか。
たとえ布でも閉めれば一つの部屋として成り立つもんだなという感じです。


どこにどんな仕掛けがあるかは、タイムズのハウツー動画を観ていただければ特に補足の必要はないかなと思いますが、主な部分だけ触れておきます。

スイッチ類は省スペース化のためにいろいろ工夫されていますね。

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ハンドルの左にあるのはワイパーではなくシフトレバーです。
Nが真ん中にあって、下げればD、上げればR。それだけ。Pレンジがないのでサイドブレーキ確認は一層徹底しませう。

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そのワイパーはウィンカーの先を上にひねると動きます(速さは調節不可)。普通だとライトをつける操作にあたりますね。下にひねればウォッシャー液が出せます。
ライトは道路運送車両法の範疇になるため、ここは原付扱いということでキーON中は常時点灯です。ウィンカーの奥に写っているのは、ハイビームとロービームを切り替えるパチパチ式のスイッチです。

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AC100Vで普通に給電できるそうです。大体6時間で満タンになり、50km前後は走れるとのこと。
スマホを一晩充電するのに近いノリと考えれば、現状では一番個人での実用に沿ったスタイルだと思います。


撮る術を持っていなかったので走行中の様子はお見せできないんですが、走った感想。

一言で言えば、「いい意味で意外と特別な感じがしなかった分、気になる点が際立つ」という感じです。

加速に関してはイメージの範囲内で、これで十分だと思いました。
限られたパワーを引き出して流れに食らいつくためには、アクセルはかなり大胆に踏む必要があるものの、平坦な道なら60km/hまで持っていくことは十分可能です。
ただ、上り坂は結構苦しいです。例えば晴海大橋の上り部分だと45km/h強で均衡してしまいました。たまたま後ろがいなかったからよかったものの、仮にこの先で右折するとかいう場合は、下り坂に入ってから車線移らないと顰蹙買いそうです(

ちなみにNとDで比較したところ、申し訳程度の擬似クリープが効いてる気がしました。


気になる点を1個だけ言うなら、いくらなんでも回生ブレーキがぎこちなさすぎます。

アクセルを抜くだけで結構な抵抗がかかるので、先のほうの赤信号を見据えて普通の車の感覚でアクセルを抜いてしまうと、交差点に着かないレベルでズルズル減速してしまいます。
でもブレーキランプはつけないと後ろも怖いだろうと思って軽く足を乗せた瞬間、思いっきりガツンっと前のめりになるほどのブレーキがかかり、余計危ないと。

10km/hを切ったぐらいで回生失効しているのか、今度はちょっとやそっと踏んでもほとんど効かなくなります。この制御はもうちょっと改良の余地があるんじゃないかなと。加速の安心感に対して減速の恐怖感がえげつない、というのが結論。


で、タイムズ協賛で行われているこの取り組み自体は、かなり有用なものだという印象です。

通常のカーシェアは最終的に元のステーションに返さないといけませんが、コムスを使ったこのサービスは、指定のステーション相互間で乗り捨てができます。

例えば今回の私のように、大手町で借りて一旦パレットタウンに返却し、お台場の各施設を楽しんだ後、デックスで別のコムスを借りて田町に返却、とやれば、散策中の部分は課金されないため、時間に対する心理的制約は相当軽減された実感がありました。

さすがに鉄道よりは割高になりがちですが、特に駅からやや遠い場所の場合は、タクシーやレンタカーよりもはるかに安く、効率的に移動できます。なにより都心のドライブを気軽に楽しめるメリットは大きいです。

とにかく都心交通をどれだけスマートにできるかというのは、オリンピックを見据えているのももちろんなんでしょうが、地方都市にも応用の効いてくる実験だと思います。私も実際に体感しながらいろいろ思いを巡らせたいですね。
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