


勝田台から京成線に乗り換えて、各駅停車 うすい行きで2駅隣のユーカリが丘にやって来ました。


右側にもう1線敷こうとした名残がくっきりありますね…。
これから乗りつぶす路線は、個性派揃いな千葉県の鉄道の中でも、個人的には一、二を争うコアな鉄道ではないかと思います。
その名も「ユーカリが丘線」。

この辺り一帯を「ユーカリが丘」として開発した不動産会社「山万」が直々に運営している新交通システムでございます。
社名の「山万」ってどういう由来なんですかね。創業者の名前の略か何かかなとも思ったんですが、ちょっと資料にあたりきれず謎です。知ってる方はこっそり教えてください。
このユーカリが丘、非常によく工夫された優秀なニュータウンと評価されているそうです。
そもそも大阪で繊維業の会社として創業した山万が、関東に拠点を置いて初めて手掛けたのは横須賀の「湘南ハイランド」でした。
このノウハウを活かして、ひたすら家や団地を建てて売っていくんじゃなくて、街そのものを自社できちんと設計して面倒を見ようという思想のもとに、ユーカリが丘は開発されているということです。これを単独の民間企業が実現させているのはかなりすごいことです。
売り買いのペースをあえて抑制することで、各世代の人口バランスを調整し、各地のニュータウンで問題視されている急激な高齢化を防いでいるという徹底ぶり。
そこら辺の諸々は、とりあえずネットだと以下のページあたりに詳しく載っています。
「ユーカリが丘開発の実践を踏まえた街づくり」 - 土地総合研究所
土地総合研究所主催で2013年に行われた講演の資料です。ざっと読んでみたら結構面白かったので、私も後でしっかり読もうと思います。
ユーカリが丘線に関しては、分譲区画のどこからでも、徒歩10分以内には最寄りの駅に着けるように計算されています。
駅名、めっちゃアバウトだなぁ…(
1周延べ5.2km(重複部分を除くと4.1km)の小さなラケット状の路線で、列車はユーカリが丘駅を起点に反時計回りに1周して、再びユーカリが丘駅まで戻ってくるのが基本です。
神戸のポートライナーのループ系統と同じで、一方向にしか運転されていません。そして、ユーカリが丘に戻ってくる度に編成の向きが逆になります。

1982年の開業で、既に35年以上の歴史があり、新交通システムとしてはかなりの古参なわけですが、おそらく駅の雰囲気は開業当時から大きくは変わっていないんだと思います。
PASMOには加盟しておらず、まずは券売機できっぷを買うことになります。
どの区間でも200円均一で、1周してユーカリが丘まで戻ってきても大丈夫とのことです。

この物理ボタンに数字が出るタイプの券売機!懐かしいですね…。私が小学生だった頃の西鉄の駅はまだこのタイプだったからか、地味に思い入れがあります。nimocaが導入される2~3年ぐらい前から、じわじわとタッチパネル型が増えていった記憶。
最近はどんな地方の鉄道に行っても、券売機があるとしたらだいたい食券みたいなやつかタッチパネルのどっちかで、このタイプってめったに見ない気がします。ちょっと寂しい。

自動改札も昔懐かしの高いバーがあるタイプです。絶妙に私の青春の記憶をくすぐる時代の設備というわけですね。
ちなみにこのバーは何なのかというと、人が通過したことを検知するセンサーがついています。最近の機種ではセンサーの当て方が変わり、こういう高いバーである必要がなくなったため、スリムな見た目のものが増えました。


「こあら号」の愛称がつけられた車両は、開業当時に導入されたものが現役です。

3両の非常に小さな車体には、可愛らしさの中にも、レトロフューチャーという言葉が頭をよぎる独特のかっこよさもにじんでいます。
そんな車両をそのまま使っているということで、今となっては珍しく冷房がついていません。
乗り込むとあっつい…。今や冷房は生命維持装置とも言われますが、こうした列車に出くわすと、気候の変化に思いを馳せずにはいられません。
とは言え、ユーカリが丘線は1周乗り通してもたった15分。普通の利用者は長くても10分で降りてしまうわけで、水分さえ携行していればなんとかなる範疇でしょう。

ちなみに、ホームには冷房のしっかり効いた待合室がありました。
発車時刻まではこっちにいて暑さをしのぐという工夫はできそうです。
車内は一応小窓が全部開け放たれているのと、ラインデリアによる送風機能はついているようで、できる限り熱気をこもらせないようになっています。
しかしそんなにスピードの出る乗り物ではないので、ほとんど涼しくはなりません(

ニュータウンは主に路線の外側に広がっていくように開発されているようで、輪っかの内側にはこのように手つかずの土地が広がっていたりして、なかなか面白い車窓です。

女子大駅。「本当に…?」と疑ってしまうような車窓なのですが、答えは“部分的にYES”です。
市川にある和洋女子大学が移転してくることを見越してつけられた駅名だそうですが、あいにくこの計画が頓挫してしまい、この大学の本部は今も市川のままです。
ただ、セミナーハウスなどの関連施設だけが一応ここに作られていて、実際に運用されています。完全な「名前だけの駅」になることは回避されたわけですね。
その隣は「中学校」駅ですが、こちらは本当に中学校がしっかりとあります。
「新交通システム」と言うと、めちゃくちゃ高い高架を走り抜けるようなイメージがつきがちな中で、ユーカリが丘線は優しい目線の高さ(?)を保ちながら、文字通り地域密着型の路線として走り続けている路線でございました。

ブログを書くにあたって、改めて開発の背景を調べてみたんですが、思った以上によく考えられていて、快適に暮らせそうな沿線なんだなということがよく分かりました。
あとはユーカリが丘線に冷房がつけば言うことなしかな…と思う一方で、今では希少価値の高くなった「新交通システムなりのレトロ感」を楽しむこともできるので、乗り鉄的には意外におすすめポイントの高い路線です。ぜひ。
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