駅名は同じでありながら、歩いて10分ぐらいの距離があります。

JRの谷山駅は最近高架化されたようです。
真新しい高架だったり、周辺の雰囲気が、そこはかとなく最近の新幹線の単独駅っぽい雰囲気を醸し出しています(


架線がない高架線は視界がめちゃめちゃ広くなりますね。

12:18発の枕崎行き。安心と信頼のキハ47でございます。もういよいよ関東では乗れなくなりましたねぇ。
途中からの乗車ですが、いよいよ指宿枕崎線でございます。市内部分は復路で乗れちゃいますしね。
鹿児島中央を出て、薩摩半島の東半分を縁取るように、路線名の通り指宿を経由してから、大きく向きを変えて枕崎まで至る路線で、JRグループ、および普通鉄道というくくりでは日本最南端の路線です。
鹿児島市内からの視点で言うと、指宿へは素直なルートなのでともかくとしても、枕崎まではかなり遠回りする関係で2時間半もかかるため、実用目的で全線通しで乗っている人はそうそういないんじゃないかと思います。
ふとバスを調べると、標準的な便では枕崎まで1時間半で行けてしまうっぽいです。
メジャーな地名だと思ってここまで注釈を入れませんでしたが、よく考えたら「指宿」ってなかなかの難読ですね…。
車内は座席を選ぶ余地はほぼない程度に賑わっていました。
そのうち空いてくることに期待して、ドアの窓からぼんやり風景を眺めながら行くことにしました。

乗ってから少しの間、錦江湾越しにどっしり鎮座する桜島を拝むことができました。少し白い噴煙が出ていますね。
(ブログを書いている今からの)先日浅間山も噴火しましたし、オオカミ少年になってはいけないとは思いつつも、煙を上げてこその桜島というイメージはやはり強いものです。
石油基地で有名な喜入に差しかかるとき、ワンマン用の自動放送が唐突に「次は“喜び入る”喜入駅です」なんて言い出したのがおかしかったです(
至って普通の列車でもたまに観光客向けな小ネタがあったりするので油断できません(

薩摩今和泉では、上りの観光特急「指宿のたまて箱」と行き違いました。
九州新幹線の全通と同時に走り始めているはずなので、もうさすがにこの路線になじんできた列車という感じでしょうか。
外観(骨組み)的には特急と普通列車がほぼ全く同じ車両というシュールさがあります。
沿線最大の観光地である指宿はいったんスルーします。
ここまでくるといよいよ薩摩半島の先端が近く、進路が南から西へと大きく変わっていきます。

西大山駅に到着!
到着する際、「発車時刻になりましたら汽笛を鳴らしますので、引き続きご乗車の方は車内へお戻りください」と運転士さんから放送がかかりました。
全ての列車ではないかもしれませんが、記念撮影などをする乗客のために、停車時間を少し長め(2分くらい)に取ってくれるサービスのようです。
この区間に観光客向けの特別な列車はなく、こうして一般の普通列車で観光客向けのサービスが行われるのはローカル線ならではで、好感が持てます。

ここ西大山駅が、普通鉄道の中では日本最南端の駅であり、またJR最南端の駅となります。
沖縄都市モノレールがあるので、鉄道全体で見ればまだ南がありますね。今年(2019年)いよいよ延伸するということで、沖縄に足を運ぶ日も近いかもしれません。まぁ、さすがに何か他にも目的を作ってから行きたいところです。


開聞岳をバックに、「JR最南端の駅」を示す標柱を写真に収められる下り方向の景色は、メディアでもよく使われる有名なアングルですね。よく図鑑などで見ていただけあって、実際にこの場所に立つとなかなか感慨がありました。
しかしながら、狭いホームにそれなりの数の観光客が文字通りごった返し、この賑わいは2分ではとても収まりそうにありません(

というわけで、あえて静かな反対側を見るとこんな感じ。
向こうも景色を遮るものがほとんどなく、こちらもまた非常に趣があります。
ここまで列車に乗っていた乗客の中には団体もいたようで、西大山で離脱する乗客も一定数いました。
この辺りまで来ると、いよいよ車内も閑散としてきて、「果ての鉄道」という雰囲気が少しずつ濃くなってきます。

それにしても、開聞岳のこれ以上ないくらい整った山容は、何度見ても芸術的で強烈な印象を受けます。

鹿児島市電と違って、こっちは勝手に軌道が緑化されてしまった感じですね(

この写真を撮った時点で、乗客は私を含めて残り3人まで減りました。
この先にある駅は全て無人駅なので、乗り降りのできない2両目に至っては私1人に。
まぁ今までの乗りつぶしを振り返ったとき、3人ぐらいになるのは意外と珍しくない気もしてくるのですが、すごく冷静な分析をするとマイカーに収まる人数ですからね(?)
いいことなのかはさておき、1人あたりの面積で言えばなかなかの贅沢です。

もうこの辺りの海は東シナ海というのが正しいでしょうか、いよいよ九州の果てという景色になってきました。
実は山側を見れば生活感はそれなりにあって、相対的にはそこまで最果ての鉄道という感じはしないです。
ただ、それと対照的な乗客の少なさと、とにかく端っこという心理的な感覚は、乗りつぶしを味わう上で十分な材料になっている感覚がありました。

谷山から2時間強の乗車で、終点の枕崎に到着しました。



西大山に比べれば少し緯度が上がっているとは言え、JR最南端の終着駅であることには間違いありません。
北の終着駅に足を運ぶのはいつになることか…。

ここ枕崎駅からは、かつて鹿児島本線の伊集院駅につながる、鹿児島交通(今もバス会社として存続)の「枕崎線」という路線が存在しました。
国鉄の指宿枕崎線は1963年と、枕崎線よりずいぶん後になって枕崎に乗り入れてきて、当時から国鉄は間借り状態だったそうです。
以降1984年に枕崎線が廃止されるまで、薩摩半島外周の環状コースが存在したわけですね。
枕崎線の廃止後も、枕崎駅の駅舎だけは鹿児島交通が保有し、国鉄/JR九州に譲り渡されることもなかったそうです。
2006年に再開発で駅そのものが100mほど移転するタイミングで、旧駅舎は取り壊されました。

まだ新しさを感じる現在の駅舎は、「町の玄関口、それも日本最南端の終着駅がホーム1枚ではさすがに寂しい」という声もあり、主に地元有志の寄付金によって2013年に完成したものということです。
現在でもJRの職員さんは不在でありながら、綺麗に整備されている駅は地元の愛情を感じますし、旅人として安心して利用できますね。

温かみを感じる駅舎の中で、ふと視線を上に向けると、海幸山幸伝説で有名な山幸彦の像が旅人を見守っています。伝説では神武天皇の祖父とされる人物です。
山幸彦はあるとき、兄の海幸彦が漁に使っていた釣り針を借りたきり紛失してしまい、それを探す道中でこの辺りにたどり着いたという謂れがあるそうです。


駅前広場のデザインはトリックアートということらしいです。
巨人スケールってことでしょうか(
…1人だと正しく面白がれない…!
枕崎市のページに桜島に立って釣りをしている写真があって、なるほどこうやって遊ぶのかと理解しました。
既に時刻は14:30を回り、さすがにお腹も空きました。
幸い折り返しの列車が出るまで1時間半あったので、遅めの昼食に繰り出すことに。
何と言っても枕崎はカツオです。
国道沿いの「だいとく」というお店に入りました。
「かつおラーメン」がとにかく推されていて、それにも惹かれつつ、とりあえずはカツオそのものの味を理解すべく「かつお丼」をオーダー。

一切れ一切れの満足感がすごい。
肉厚のしっかりした食感で、食べるごとに力強いうま味を主張してくるのが大変美味でございました。ごちそうさまです。
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