まずは水道町から熊本市電に乗り込み、最後まで乗り残していた東部の区間を一気に埋めることにしました。

新水前寺駅前までは確実に乗ったことがあったのですが、健軍町まで乗ってきたのは初めてかもしれません。

ここまで来ると熊本市内と言えど郊外の雰囲気がありますが、自衛隊の駐屯地から連なる整然とした区画が、地図を見るといかにも昔の名残を留めているようなエリアでもあります。

中心部の通町筋まで戻ってくると、健軍町行きにぴったりと続行する交通局前行きの電車も。
熊本市電はいつ乗っても賑わいが感じられていいですね。
朝の上通のアーケードを抜けて、熊本電鉄の藤崎宮前駅へ移動します。

あそこが藤崎宮。

どこから見てもビジネスホテルにしか見えませんが、この隅を抜けるとちゃんと鉄道の駅があります。実際にはオフィスと駐車場っぽいです。



かつて都営地下鉄三田線で走っていた6000形です。
この熊本電鉄は懐かしい車両の宝庫としても有名で、いろいろ見られると思うと楽しみ。
当然ながら三田線の走り方とは全く違っていて、地元密着でゴトゴトと進んでいく路線でございます。
なにしろ、藤崎宮前を出るといきなり併用軌道の区間があります。一度外から見てみたい。

併用軌道の区間が終わった後も、脇の道路とつかずはなれず走ったりします。
決して高規格な路線ではないため、車のペースとも大きな差がないあたり、さながら路面電車っぽさもあったりします。

藤崎宮前から25分くらいで、終点の御代志に到着しました。
昔は目の前の国道とほとんど同じルートで菊池のほうまで路線が延びていて、今でも「熊電」よりも「菊電」という呼び方のほうが通りが良いそうです。

最小限の移動でそのままバスに乗り継ぎ可能な親切設計。もっともバス路線も熊本市内から似たようなルートを並行してくるようなので、ここで乗り継ぐ需要がどれだけあるかはなんとも。

ICカードはくまモンのIC CARDと、全国の相互10種も利用できます。
カードリーダーは乗車用だけ駅のホーム上にあって、降車用は車内にあります。ちょっと珍しいスタイルでしょうか。

帰りは北熊本で下車し、上熊本方面に乗り換えです。
路線名的には御代志-上熊本が1本の菊池線であり、北熊本から藤崎宮前方面が支線の藤崎線だそうですが、列車は逆に北熊本-上熊本間が支線のような形で運行されています。

乗り換える際、最大の目玉車両に出会いました。
「青ガエル」こと東急初代5000系の中でも、最後まで生き残った現役車両として有名でした。
渋谷駅前にある車体は台車を外された上に3分の2の長さにカットされているので、両運転台化されてもなお、熊本電鉄のこちらのほうが元の雰囲気に近かったと言えるかもしれません。

よく見ると方向幕が「二子玉川園」というファンサービス。
2016年に引退し、営業運転に就くことはもうないでしょうが、自走可能な状態は維持されているようです。

そして、その後継役となったのが、つい数年前まで東京メトロ銀座線をバリバリ走っていた01系でございます!
ついこの前までごく普通に東京で乗っていた感触が、ほぼそのまま熊本で味わえる形になっています。

01系の懐かしさ(というものを感じるほど記憶が古びていない気もしますが)に浸りながら上熊本に到着し、これで熊本電鉄も完乗です。


乗ってきた01系を観察すると、帯や行先表示のLEDなどは銀座線時代の姿を留めている一方で、よくよく見ればかなり大胆に改造されていることが分かります。
ミラーやスカート、パンタグラフなど目立つ部分はもちろんのこと、そもそも銀座線は標準軌なので、ここで走るにあたっては台車も履き替えになっています。
そこまでの改造を要してもなお01系が選ばれたのは、タイミングはもちろん、やはり現代では導入しようにもなかなか例の少ないコンパクトさが、熊本電鉄の路線環境にマッチするものとして買われたのかもしれません。
今回の旅の乗りつぶしはここまでとして、実は熊本市内に住む親戚と連絡を取って、後で合流することになっていました。
その待ち時間を使って、市役所にある展望スペースに上がってみました。

市電の電停名も「熊本城・市役所前」となっている通り、市役所は熊本城の目と鼻の先にあるため、この展望スペースはお城の全体を観察するのにうってつけのスポットなのです。
熊本地震の爪痕は本当に根深く、今見てもどうしても心が痛んでしまう部分はあるのですが、一方でその復旧していく過程をしっかりと観察し、元の雄姿を取り戻す日を心待ちにする思いが勝ります。

大天守。2016年8月の訪問時に瓦がボロボロになっていた頃の痛ましい面影はもはやなく、真新しい瓦が葺かれていました。

市役所から加藤神社まで移動する道中、石垣の石が整然と並べられている光景も見ることができました。
一つ一つの石を元通りに積み直すべく、番号を振って整理されています。気の遠くなる作業ですが、こうした地道な作業を経て、着実に元の姿を取り戻す日へと向かっています。


記事を書いている今は、この訪問時(2018年7月)よりさらに修復が進み、特に大天守についてはほぼ完了したそうです。
熊本城特設サイトでは、特別見学通路のコースを疑似体験できるコンテンツを閲覧できるようになっています。
発災から5年となる2021年春には天守の内部まで立ち入れるようになるということで、それを心待ちとして、今回の旅日記を締めくくりたいと思います。


乗ってきた01系を観察すると、帯や行先表示のLEDなどは銀座線時代の姿を留めている一方で、よくよく見ればかなり大胆に改造されていることが分かります。
ミラーやスカート、パンタグラフなど目立つ部分はもちろんのこと、そもそも銀座線は標準軌なので、ここで走るにあたっては台車も履き替えになっています。
そこまでの改造を要してもなお01系が選ばれたのは、タイミングはもちろん、やはり現代では導入しようにもなかなか例の少ないコンパクトさが、熊本電鉄の路線環境にマッチするものとして買われたのかもしれません。
今回の旅の乗りつぶしはここまでとして、実は熊本市内に住む親戚と連絡を取って、後で合流することになっていました。
その待ち時間を使って、市役所にある展望スペースに上がってみました。

市電の電停名も「熊本城・市役所前」となっている通り、市役所は熊本城の目と鼻の先にあるため、この展望スペースはお城の全体を観察するのにうってつけのスポットなのです。
熊本地震の爪痕は本当に根深く、今見てもどうしても心が痛んでしまう部分はあるのですが、一方でその復旧していく過程をしっかりと観察し、元の雄姿を取り戻す日を心待ちにする思いが勝ります。

大天守。2016年8月の訪問時に瓦がボロボロになっていた頃の痛ましい面影はもはやなく、真新しい瓦が葺かれていました。

市役所から加藤神社まで移動する道中、石垣の石が整然と並べられている光景も見ることができました。
一つ一つの石を元通りに積み直すべく、番号を振って整理されています。気の遠くなる作業ですが、こうした地道な作業を経て、着実に元の姿を取り戻す日へと向かっています。


記事を書いている今は、この訪問時(2018年7月)よりさらに修復が進み、特に大天守についてはほぼ完了したそうです。
熊本城特設サイトでは、特別見学通路のコースを疑似体験できるコンテンツを閲覧できるようになっています。
発災から5年となる2021年春には天守の内部まで立ち入れるようになるということで、それを心待ちとして、今回の旅日記を締めくくりたいと思います。
- 関連記事
-
- 7/29-31 南九州緩急旅⑦ (2020/07/05)
- 7/29-31 南九州緩急旅⑥ (2020/04/17)
- 7/29-31 南九州緩急旅⑤ (2019/12/30)
- 7/29-31 南九州緩急旅④ (2019/09/23)
- 7/29-31 南九州緩急旅③ (2019/09/17)
sonic817
2020.08.27 Thu. 08:14
No title
SONICといいます。よろしくお願いいたします。
熊本に来られたんですね~。
わたしは同じ九州に居ながら、熊電は北熊本以南しか乗車したことがないんです。
遠方からだと、上熊本駅からのアクセスが便利かな?
熊電、イマイチ元気がないんですよね~。
熊電自身はLRT化して市電との乗り入れを希望してたんですが、市と警察に拒否されてしまいました。
予算的にかなり厳しいでしょうが、思いきって地下化して、繁華街に乗り入れるしかないとおもうんですよね~。