④までを見てくると、時刻表がどれだけ万能かつ必須アイテムであるかが見えてきたかと思います。
3回ぐらい繰り返しましたからね。鬱陶しいと思われた方には申し訳ないです。
さて、冊子の時刻表を選ぼうということになるわけですが、書店で売っている時刻表にもいろいろと種類があります。
代表格は、書店で目立っているB5版の分厚いアレ。
現在このサイズの時刻表は2種類発売されています。
1つはJTBパブリッシングが発行している「JTB時刻表」。
国鉄解体までの公式時刻表で、歴史が長いのはこっち。
もう1つは交通新聞社が発行している「JR時刻表」。
現在JRが編集に直接関わっていて、みどりの窓口に置いてあるのはこっち。
必然的に、「どちらがいいのか?」という話になってきます。
結論から言うと、「どちらでもいい」です。
※「どちらも買わない」という第3の選択肢が存在するので、とりあえず後の方まで読んでから書店に行ってください。
断言しますが、18きっぷに必要な情報に関して、両者に情報量の差異は全くありません。全く。
では何が違うのかというと、時刻表本文のページにおいて、書式が若干違います。
分かりやすい違いを挙げると、例えばJTB時刻表は特急列車を太字で表しているのに対し、JR時刻表は特急列車を赤文字で表しています。
もはや完全に好みの問題です。
書店でパラパラとめくってみて、「自分に合っているな」と思うほうをチョイスしてください。
で、ここまで偉そうなこと書いておいてものすごく気が引けるのですが、私はどちらも1冊も持っていません。
「画像もなしに」なのはそういうことです。ごめんなさい。
すごく単純な理由で、「B5版は大きくて重く、持ち運びに不便だから」です。
私が使っているのは一回りか二回り小さい、いわゆる携帯版です。
「鉄道旅行者たる者、B5版は必携。携帯版なんて認めない」という硬派な人もいるにはいますが、
私は携帯版で事足りるなら別に携帯版だけでも構わないと思っています。
さて、そんな携帯版にもいくつか種類がありますが、おすすめは「コンパス時刻表」。
小さい駅が省略されてしまいがちな携帯版の中で、この「コンパス時刻表」はJR全駅掲載。小さい駅への旅も安心です。
なお、発行は「JR時刻表」と同じ交通新聞社ですが、特急列車の表記は赤文字ではなく太字です。
もちろん携帯版であるが故のデメリットもあって、東京・大阪エリアの一部の通勤路線は、早朝・深夜以外の列車が省略されています。
ここを補完する方法。
1.ネット検索を併用する。
2.コンパス時刻表の該当路線のページにある「運転間隔」の欄をもとに、時間を推定しながら行程を組む。
いろいろありますが、この点がそれほど支障をきたしたことはありません。
このエリアを通過する際、厳密に調べなければならないことがほぼないため、などの理由からです。

↑コンパス時刻表。
文庫本よりは一回り大きく厚いが、B5版と比べればはるかにコンパクト。
18きっぷ旅行のためだけに使う分には、各シーズン直前に発売される3・7・12月号を買うようにすれば、
ダイヤ改正や臨時列車にも十分対応できる。
ずいぶんと前置きが長くなってしまいました。
ここでは時刻表の中で最低限知っておきたい記号を一つ一つ見ていきましょう。だいたい重要度順です。
※本物の時刻表のページから抜き出したいのは山々ですが、「無断転載」に引っかかりそうなので手書きです。ご了承ください。

『時刻』です。フォントは不明です。
24時制で、「○○××」で「○○時××分」となります。10時より早い時刻は右寄せで「○××」となります。
とても単純ですね。「:」を省略する表記に慣れてしまえば楽勝です。
ただ一つ注意点があって、ページ左端の「着」と「発」は必ず確認してください。
といっても、大多数の駅には「発」しかないので、着時刻は推定が必要な場合もあります。
※用語かもしれないので一応解説。出発する時刻を「発時刻」、到着する時刻を「着時刻」と呼びます。
時刻が太字、もしくは赤文字(要するに他より目立つもの)の列車は特急列車です。これらは18きっぷ旅では原則として縁のない列車たちです。
逆に、細字で書かれたものは普通列車。18きっぷでお世話になるのはこの列車たちというわけですね。

『通過』です。これも分かりやすいですね。
※運転士の交代などでドアを開けずに停車だけする場合もあり、厳密には『乗り降り不可』と書くのが正しいかもしれません。

『この駅が終点』、いわゆる『当駅どまり』です。
下の駅にちょっとはみ出してるじゃんというツッコミはさておき、一番最後の数字の駅が終点です。
もちろん、この場合は一番左に「発」と書いてあっても、着時刻が書かれていることになります。
なお、ページの一番下の駅や、横線が引いてある駅が終点の場合は、この記号は省略されます。


『直通』『変更』などです。矢印の向きは臨機応変に変わります。
使われ方が複数ありますが、どれも直感的に理解できるものなので大丈夫です。
1.ページの一番下まで行ってもまだ終点ではない列車で、横に矢印を付けて終点の駅と着時刻を記す用法。
2.別々に走ってきた列車が連結することを表す用法。また逆に、切り離して別々の列車になることを表す用法。
3.列車番号(意味は割愛)が変わるので、見かけ上は1本の列車なのにわざと別々に分けて書いていることを表す用法。
4.(次の記号で解説。)

『特定の日の時刻変更』です。「この時刻に変更されるよ」という日がカッコ書きで書かれています。
通常の時刻に戻る所で、矢印で元の時刻に合流します。
また変更箇所が1駅だけの場合は、カッコ書きの中に注釈だけ書くのが普通です。

それぞれ文字通りの意味です。
「土休日」とは、土曜日と、日曜日・祝日・振替休日をまとめて指す用語です。「休日」に土曜日は含まれません。
ほかにも「○曜日運転」などのバリエーションがあるので、カッコの中は注意深く読むようにしましょう。
ダイヤモンドのマークは、特定の日のみ運転する列車の目印です。

『経由しない』です。このページに載っていない、別の路線を通る列車にはこれがついています。

『一部指定席』です。逆に言えば「自由席もついている」ということです。

『全車指定席』です。
【白い服は一部指定、黒い服は全部指定】と覚えてしまいましょう。

『グリーン車(自由席)付き』です。なんだかいびつですが気にしないでください。

『グリーン車(指定席)付き』です。
【白は自由席グリーン、黒は指定席グリーン】と覚えてしまいましょう。
18きっぷで旅行するにあたって、最低限知っておくべき記号類はこれぐらいですかね。
「最低限」とは言いましたが、いっぺんに覚えようとする必要はありません。
特殊な列車に乗ろうとしない限り「全車指定席」なんて出くわしませんし、止まるか止まらないかが分かれば何とかなったりもします。
ただ、この10個ほどの記号を覚えてしまえば、とりあえずどんな旅行をすることになっても困らない、という意味での「最低限」だと考えてもらえればと思います。
とはいえ、毎日当たり前のように鉄道を使っている人でも、この様式の時刻表は、縁のない人には全くないものだと思います。
なぜなら普段の移動では、わざわざこれを見る必要がないから。
前の回でもチラッと書きましたが、「ケータイがあるのになんで時刻表がいるの?」と言う人がいます。
これは紙の辞典vs電子辞書だとか、メカが使えないアナログ人間だとか、そんなレベルの争いとは根本的に論点が違います。
鉄道旅行に限らず、旅行というものは完璧にスケジュール通りに進むことはほぼあり得ません。
1.不可抗力・・・雨などの悪天候、あるいは天災や事故による、列車の遅れや不通
2.人的要因・・・寝坊、忘れ物による引き返し、観光地滞在時間の長短
そういったときに紙の時刻表を開くと、たとえ路線の知識がなくても、この先どうするかを考えることが可能です。
ネット検索はどうしてもこの辺の機能が弱い。自分で経由駅を指定しないと迂回ルートを出してくれません。
つまり路線図が頭に入っているなど、そこそこの予備知識が必要。
まして、もし電波のつながらない地域、あるいはトンネルの中で足止めを食らえば、ネットにしか頼れないのは相当リスキーです。
このケースは意外に多いです。私がついてないだけか?
また、遅れるケースばかり例示されがちですが、「意外に早く観光が終わってしまった、残り時間どうしよう」というケースもたまにあります。
そんなときも、寄り道を追加したり、早めに出発して次の目的地に早めに行ったりと、紙の時刻表を開いて柔軟に対応できるのです。
お疲れさまでした。準備編はこれで終了です。
5つの項目が全部バッチリであれば、青春18きっぷを使うための最低限の知識があるということです。
発売期間をチェックしたら、あとは買いに行くだけです。
次回からは、いよいよ18きっぷそのものの詳しいルールについてじっくり見ていきたいと思います。
- 関連記事
-
- ゼロから学ぼう!青春18きっぷ入門講座【2-2-5】これができれば使える!⑤ (2012/11/06)
- ゼロから学ぼう!青春18きっぷ入門講座【2-2-4-e】これができれば使える!④-E (2012/11/06)
- ゼロから学ぼう!青春18きっぷ入門講座【2-2-4-d】これができれば使える!④-D (2012/11/06)
- ゼロから学ぼう!青春18きっぷ入門講座【2-2-4-c】これができれば使える!④-C (2012/11/06)
- ゼロから学ぼう!青春18きっぷ入門講座【2-2-4-b】これができれば使える!④-B (2012/11/06)